“町づくり、観光づくり、アートづくり” 演出家 平田オリザさんインタビュー

“町づくり、観光づくり、アートづくり” 演出家 平田オリザさんインタビュー

“町づくり、観光づくり、アートづくり”
演出家 平田オリザさんインタビュー

大谷の旧大谷公会堂で催された地域の人々による演劇ワークショップの発表会。
その講評のために大谷を訪れた演出家の平田オリザ先生に大谷の未来像を伺った。

平田:大切なのは、大谷の地域全体としてどのような未来を描いていくかを考えることです。観光文化を根付かせるためのパーツは揃っています。大谷の周りには、宇都宮の餃子やカクテル、さらには日光など海外から多くの人が訪れる観光地もあります。課題は、これらの魅力をどうコンパクトに提案していけるかです。いろんなスポットを巡る回遊性、参加して楽しめる体験性をつくり出しながら、町の人の潜在意識もリニューアルしていく必要があると思います。

観光づくりを成功させるポイントとは

平田:オンリーワンになることです。それも、高度経済成長期の物見遊山のように一度訪れたら満足する観光スタイルではなく、リピーターが何度も訪れたくなる魅力をどうつくっていくか。その1つが文化観光、芸術を使った観光と言えます。芸術は演劇に限りません。どのようなアーティストと出会えるか、その偶然の出会いからどんなアートが生まれるかが鍵を握っています。施設を新しく建てることよりも、既存の施設を活用し、きめ細かく活動を続けていくことのほうが重要です。演劇をはじめ、パーフォーミングアートはコンテンツや演目を変えれば、人は何回でも来てくれます。

東京の生活を経験した女性が戻って来る町

平田:これまで人口流出、人口減少の対策と言うと、高卒男子の囲い込みやUターン雇用などが中心に語られてきました。でも、これからはソフトで地域に人を呼ぶ時代だと思います。子育て世代の夫婦がどの町に暮らしたいかを考えるとき、決定権は女性が持っているのではないでしょうか。鍵を握るのは、教育と文化です。東京で生活した経験を持つ女性たちを満足させる教育の場と、高度な文化に触れる機会を地域にどうつくりだしていけるかだと思います。生まれ育った町で、世界的にレベルの高いカルチャーを気軽に体験できるのであれば、東京で暮らす理由はなくなるでしょう。また子供と家族が訪れて楽しい場所を作ることも重要です。

大谷の町を散策していると、予期せぬ意外な発見があります。歴史を感じさせるものだったり、美しい自然の造形だったり。ネットで見ていたよりもすごい! その感覚をたくさんの人が共有できる町になっていくことを願っています。

                     平田オリザさん(撮影:manabu kuwano氏)

平田オリザ
劇作家・演出家・青年団主宰。
こまばアゴラ劇場芸術総監督・城崎国際アートセンター芸術監督。

▶大谷の旧大谷公会堂で催された地域の人々による演劇ワークショップの発表会

2021.04.09