山の神と、いちょう

山の神と、いちょう

大谷では、山(採石場)ごとに安全を祈願して神様が祀られている。お祭りの日は、山主から酒と料理が振舞われ、石工や家族が集まって楽しんだと言われている。いくつかの神社には、人が座れる場所や舞台があって、芝居や踊りも楽しまれたにちがいない。また大谷には、一年に一度、山主たちが集まって行う行事があると聞いて見学させていただいた。祭祀が執り行われるのは。大山阿夫利神社。岩肌が露出した崖の下にある小さな祠で、石材組合の石下理事長をはじめ、組合員の方が20名程度並べば境内はいっぱいになってしまうほど。神主さんが祝詞をあげられた後、一人一人が安全を祈願している。華やかだった時代は、境内の下に100人近くの石工たちが集まったそうだ。境内を歩くと、いちょうの小さな葉がたくさん落ちていた。特別ないちょうなのだろうか、葉が通常の半分ぐらい。この小さな葉っぱは、毎年、秋になると山の神の祭祀を彩ってきたにちがいない。

2021.09.30