朝一番早いのは

朝一番早いのは

採石場の風景は、機械が使われるようになって変わった。人間が手で掘っていた時代は、お父さんが石を掘り、お母さんがこっぱと呼ばれる削りカスを集め、そばでは赤ん坊が弁当箱と一緒にくるまっていたという。当時を知る人たちから話を聞いていて、なるほどと感じたのは、採石場は朝が早いこと。朝というよりも明け方。なぜなら地下の坑道には光が射さないので昼と夜の区別がなく、外が雨であろうが雪であろうが関係なく仕事ができた。フレックスタイムというわけでなないが、農閑期や天候が悪い時は、採石場に働きに行ったという人も多かったのではないだろうか。さて、機械の時代になったからといって、誰もがすぐ石工になれるわけではない。チェーンの刃を正しく研げるかどうか。変なクセがつかないように研げるようになって初めて一人前だという。

2021.05.11