地球から剥がれる音。

地球から剥がれる音。

大谷石は、岩盤からどうやって切り取るのだろう。
表面や側面は想像できるが、底の部分すなわち大地とつながった面はどうやって剥がすのかずっと疑問に思っていた。ある時、謎を解くチャンスがきた。露天掘りと呼ばれ、地上から穴を掘っていく採石場に見学を申し込んで、石を剥がす作業を見せてもらったのだ。

最初の作業は、岩盤にマスと呼ばれる定規をあてながら機械で碁盤の目のように切り目を入れていく。次に、その切り込み線にワリヤと呼ばれるくさびを3箇所打ち込むと、自然にボコッと石が浮かび上がる。側で見ていても手品のように不思議でどうなったかわからない。ボコっと鈍い音とともに石が剥がれる。簡単なようだが、大谷石の硬さや成分を確かめながら、くさびを打ち込む強さを調節しているようだ。露天掘りに限らず、地下の坑道でも作業は同じだという。

小さく鈍い音が耳に残り、大谷石への愛着が深まった。

 

職人さんの作業風景の動画は▶こちら

2020.12.16

栃木県宇都宮市大谷町209(有限会社KANEHON内)
http://www.kanehon.jp