大谷石の学びの空間―宇都宮大学キャンパスの生きた教材― / 安森 亮雄(千葉大学大学院工学研究院教授)

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大谷石は、宇都宮口の家や店舗の蔵や塀に表され、まちの座されるラガ、地域の大学である宇都宮大学の2本内もも、実の空間からが。

宇都宮大学峰町キャンパスのフランス式庭園を中心とする遺産

町(農学部、教育学部、国際学部)は、大正11(1922)年にされた宇都宮高等農林校を母体正門を迎えて右手に「フランス式庭園」(図1、大正15年)1)があり、大谷石を頂て藤道や鉢からがている、フランス式庭園のライダーであり、宿の中心軸を卓、造園を選ぶの「峰ヶ丘講堂」(大正13年)2)があり、改修されてありませんが、になっます。国の登録有形文化財宇都宮。

これらに隣接して建つ「旧図書館書庫」(図2、大正13年、昭和32年増築)も、大谷石でつくられている。近代の高等技術教育を担った学校において、貴重な図書をしまうのは、やはり石造の建築であった。大正時代に作られた建物は、大谷石を積んだ組積造で、1階には尺角(約30cm角)の厚い大谷石が用いられ、堅牢な造りである。外観の意匠は、まちなかの石蔵とは異なり、他の都市でみられるレンガ造の倉庫などに類似しており、近代の産業建築の意匠が、地域素材の大谷石に用いられたと考えられる3)。昭和30年代に増築され、こちらは、鉄筋コンクリート造の柱梁の間に大谷石を積んだ建物である。図書館が移転した後は、サークル棟として使われていたが、現在は使用されておらず、今後の活用が検討されている。


図1 フランス式庭園


図2 旧図書館書庫

フランス式庭園の正面には、もともと木造の本館が建っていたが、戦後(昭和24年)に火事で焼失した。その後に建てられた学生食堂は、大学会館に食堂が移転した後に、事務室等に分割されて使われていた。これを、大学と地域の窓口である「UUプラザ」として、筆者が設計に関わってリノベーションした(図3、2012年)。庭園と呼応する大谷石の壁をもつテラスが、講堂や旧図書館書庫に至るコリドー状の動線になるとともに、建物の内外を繋ぐ縁側状の空間となっている。庭園から見ると、建物の基壇として風景の一部になり、近づくと、囲まれたカウンターとベンチで数人がくつろげる居場所になっている。こうした都市スケールの風景と、親近感のある家具スケールの居場所の双方に、大谷石という素材感が一役買っている。この一帯は、大学の歴史を今に繋ぐことでアイデンティティを醸成し、また、大学と地域を結ぶゾーンになっている。


図3 UUプラザ(改修)

宇都宮大学陽東キャンパスにおける建築の学び

次に、陽東キャンパス(工学部、地域デザイン科学部)は、昭和36(1961)年に設立された宇都宮工業短期大学を母体とするキャンパスである。
建築系の学科が入る「陽東8号館」4)は、筆者が設計に関わり、耐震改修の際に、今の教育に合わせてリノベーションされた(図4、2014年)。従来の画一的な廊下と間仕切りをオープンな協働空間に再編し、建築の学生が校舎自体を教材として学べるようになっている。入口には、大谷石の壁面を設け、地域の大学のシンボルになるとともに、石の段をすべて異なる仕上げとし建材サンプルにもなっている。


図4 陽東8号館(改修)

校舎の裏手には、東日本大震災で発生した大谷石のがれきを引き取り、学生がセルフビルドでつくった「震災がれき大谷石の再利用による休憩所」5)がある(2013年)。2011年の東日本大震災では、栃木県内で約18万トンのがれきが発生したが、その約半数が石蔵や石塀の崩壊による大谷石がれきであった。これらの一部は一般に無償譲渡されたが、多くは処理業者に引き取られ粉砕処理された。こうした状況を背景に、がれき集積場に放置されていた大谷石のがれき約150本を引き取り、キャンパス内の休憩所を設計施工した。震災の記憶を留めるとともに、まちなかの大谷石蔵の風景を引き継ぎ、人の居場所となる「小さな蔵・大きなベンチ」としてデザインしている。がれきの大谷石は、角が欠けたり、大きさが不揃いのものが多いが、目地を大きくとり、空隙を空けて積むことにより、遺跡のような印象を醸し出している。石の施工は石工の技術指導を受け、上屋の鉄骨は地元の工務店により施工した。こうした素材の提供から、施工まで、地域連携による実践的な取り組みとなっている。大谷石の廃材は、災害時だけではなく、石蔵の利用機会の減少や所有者の世代交代により、恒常的に発生している。古い石材は、良質であるため再利用することが望ましく、大谷石のリサイクルによるストリート・ファニチャーが、今後のまちなかの広場や待合所などの景観形成のプロトタイプとなることを意図している。


図5 震災がれき大谷石の再利用による休憩所

生きた実験場としてのキャンパス

宇都宮大学のキャンパスは、大正時代の創建期から、大谷石を用いてキャンパスが整備され、造園や建築を学ぶ教材にもなってきた。そこでは、都市スケールの風景と身体スケールの居場所の双方に大谷石の素材感が活かされている。大学キャンパスは、都市の縮図であり、生きた実験場(リビング・ラボラトリー)として、地域の素材とともにその営みを次世代へと繋ぐ場所となっているのである。

支配視
1)文化遺産オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/447330
2)文化賞オンラインhttps://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/245428
3)安森亮雄:大谷石を表た宇都宮大学定図書館書庫の歴史的価値、日本建築視技術賞集、第22巻、第52号、pp.1155-1158、2016.10
4)宇都宮大学陽東8号館2014年グッドデザイン
http://www.g-mark.org/award/describe/416345
)宇都宮がれき大谷石の再利用的デザイン2013年度グッドデザイン賞
http://www.g-mark.org/賞/説明/ 40388


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